味も値段も横綱級
ノドクロは、正式名称をアカムツといいます。 「西のアカムツ(ノドクロ)、東のキンキ」と謳われる超のつく高級魚です。ご存知のとおり、口を開けると喉が真っ黒なので「のど黒」というわけです。 太平洋西部に生息し、日本から東南アジアやオーストラリアまで分布しています。 日本周辺では東北や北陸より南の日本海、太平洋などに広く生息しています。 が、漁獲高が低く、希少性が高いゆえ、値段も高いのです。 水深100~200メートルの深海に生息し、おもに底引き網で漁獲します。 日本海では9月1日に底引き網漁が解禁となり、ノドクロも旬を迎えます。

「白身のトロ」と評される
ノドクロは、一年を通じて脂がのり、濃厚な旨みが楽しめます。
クセのない味わい、口のなかでとろける脂の旨み。 「白身のトロ」とは、よく言ったものです。  
旬といいますと、やはり十一月の晩秋から二月くらい、 もっとも脂ののる冬場がおいしいでしょう。
また、七月から十月の産卵を控えた初夏は、ほどよく脂が落ち、 冬場よりあっさりしておいしいという方もいらっしゃいます。  
ノドクロは、旨みも脂も皮のすぐ下にあります。 ですので、皮はひかずに身と一緒にお召し上がりください。 鮮度が良ければお刺身がおいしいですが、当方でおすすめしているのが昆布締めです。




昆布の旨みと魚の旨み 相乗効果でおいしくなる
北前船が運んだ北海道の良質な昆布と、 若狭湾で水揚げされた新鮮な魚との出会いが、昆布締めのはじまりです。
当方では、北海道羅臼産の昆布を使っています。 羅臼昆布は香りが良く、黄金色のだしが取れます。その味わいは非常に濃厚で 「だしの王様」と謳われるほどで、ノドクロの旨みをさらに引き立てます。  



魚の身を塩で軽く締め、昆布ではさみ、しっかりと温度管理された冷蔵庫で ひと晩熟成させます。 シンプルな製法ゆえ、魚の鮮度とおいしさ、そして昆布と塩の良さがものをいいます。
昆布締めにすることで、その旨みを魚にしみ込ませます。 同時に昆布が魚の水分を適度に吸うので、魚の身が締まり、 旨みがギュッと凝縮されるのです。  魚と昆布の旨みを堪能していただくため、お召し上がりの際は、 まず何もつけずに、ぜひ。程良い塩気がございます。 醤油をつけなくてもおいしく、つけてもほんの少量で。 わさびを少し添えてもよろしいかと思います。
 
魚の水分と旨みを吸ってやわらかくなった昆布も、もちろんお召し上がりいただけます。 魚の身とともにお椀に入れ、かつおだしを張り、仕上げのしょうゆを少したらせば、 上品な味わいのお吸い物に。お茶漬けも」また、おすすめの食べ方です。



お茶漬けにしても。熱々のお茶やだしを注いで、半生にして
しゃぶしゃぶにして、さっと火をとおすと、またちがった味わいに
ほんのり塩の効いた昆布締めは、まずはそのままでどうぞ